2,外断熱工法のデメリット    


 外断熱工法には沢山の優れた点があります。
 しかし残念ながら、外断熱工法にはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。
 この章では、それらについてまとめてみましょう。

(1)  建設費が増大します。
 物件の仕様にも依りますが、外断熱工法の建設費は、一般の建設費と比較して、1〜2割増し(設計仕様によってはそれ以上)と考えなければなりません。
 その内訳は、主としてに外装の為の下地と断熱材になりますが、下記の(2)の後半で説明する部分や、熱橋を廃するための特殊な納まりが必要になり、その為のコストアップの場合などもあります。
(2)  内側でも十分な断熱を行うと同様のことが起きますが、法的ではなく実際の建築面積に対して、室内の面積が断熱材の厚み分だけ狭くなります。
 外断熱工法では、断熱材の厚みは100mm程度有りますから、一般的な内断熱に比べると、外周に沿って90mm以上の損失となります。
 又これらの寸法は、通常の工法に比べて非常に大きな壁厚(250mm〜300mm)として、開口部の納まり(例えば額縁の見込長の増大)等のコストアップに繋がります。
(3)  外断熱工法のメリットを完全に享受するためには、施工管理を十分に行う必要があります。
 検討の為の準備期間や、工事自体の工期も十分に見込まなくてはならないため、結果として一般の建設にかかる工期よりも長くなります。
(4)  上記のメリットは東北以北の寒冷地では十分に生かせますが、東北以南特に当社が基盤としている近畿地方等では、コストパフォーマンスに疑問があります。
 外断熱工法は非常に優れた工法ではありますが、有る程度寒冷地でないと、増大するイニシャルコストをカバー出来るだけのランニングコストを稼ぎ出す事が出来ません。
(5)  外断熱工法は、いかにして熱橋を無くしていくかという、地道な努力が必要になります。
 又これらの問題については、設計段階では必ずしも詳細まで考慮されるとは限りません。
 それらのことを考え合わせると、確実なノウハウを持つ施工業者を選定する必要が有ります。