1−3 従来工法との違い   


 近頃の建築物では、居室の外壁面に断熱材を設置しない例はまずありません。
 これは結露防止策として、或いは冷暖房負荷を下げ、省エネルギーの建物とするためで、イニシャルコストの点から、外壁面内側に発泡ウレタンを吹き付ける工法が主流です。
 しかしこの工法で、本当に十分なのでしょうか。
 建物全体として考えたときに、発泡ウレタン工法は、冷暖房負荷を下げるという点ではコストパフォーマンスに優れた工法だと言えます。
 それでは、結露の対策としては十分なのでしょうか。
 残念ながら、発泡ウレタンを内壁面の要所に吹き付けても、結露の問題は根本的な解決にはなりません。
 なぜなら、建物全体として考えられる冷暖房負荷とは違い、結露は局所で起こるものだからです。
 結露は、局所的な温度差がある場合に、その界面で起こります。
 建築物の結露の多くは、外壁面の低(高)温が、内部側の高(低)温壁面に伝わり、水蒸気を含んだ空気が、その内壁面にふれる事で起こります。
 勿論内壁側に断熱材があるので、外壁面との温度差はその断熱材で遮断されるはずなのですが、実際はそのようにうまく機能しません。
 これは、内側に断熱材を設置しても、それぞれの場所によって壁の温度が一定でないからです。特に冬季の押し入れやタンスなどの裏側では、室内の暖房によって内壁が十分に暖まらず、温度の低い部分になり、室内の暖かい水蒸気を含んだ空気がふれたときに結露を起こすのです。

  では、何故外断熱工法ならばこのような問題点が解消出来るのでしょうか。
 それは、
コンクリートの躯体を熱伝導媒体として利用し、外部に断熱を施すことで、建物全体を蓄熱体としているからです。
 そのようなイメージはあまり持たれていないようですが、実はコンクリートというものは、熱を通しやすい、つまり熱伝導率(厚さ1mの板の両端に1℃の温度差がある時、その板の1uを通して、1秒間に流れる熱量)が比較的良い物質なのです。
 熱伝導率の良い物質には、金属があります。
 例えば、鉄の熱伝導率はコンクリートの約4倍です。(※注)
 身近なもので断熱性能の良い物は、木材や空気があります。これらの熱の伝わりにくさを鉄を1として比較すると、コンクリートが30、木材が260、乾燥空気になると、実に2000倍にもなります。
 つまり、コンクリートは熱を伝えやすい物質である、と考えて差し支えないわけです。
 ※注: コンクリートの熱伝導率は、土木学会コンクリート標準示方書の特性値として示されている9.2 kJ/mh℃とした。

 内壁に設置した断熱層ですと、このコンクリート躯体の特性を生かす事が出来無いばかりか、外気温の変動を、直接建物全体に伝達してしまいます。
 反対に外壁断熱工法の場合、内部の熱を外に逃がさず、建物をちょうど魔法瓶のような状態にする事が出来るため、外気温の変動に左右されない、或いは室内の冷暖房エネルギーが外に漏れ出さない、と言うメリットが生まれるわけです。

    屋根・屋上    




屋根躯体





   



屋根面断熱材




   





天井仕上げ













室内




       






床仕上げ材

土間コンクリート
土間下断熱材
埋戻し土
基礎
    屋根・屋上    


   




屋根面断熱材





   





屋根躯体







天井仕上げ











室内




       










床仕上げ材





土間コンクリート
土間下断熱材
埋戻し土
基礎
従来の一般的な工法 外断熱工法

 上の図は、従来の一般的な工法と外断熱工法の標準的なモデルです。
 上図は、あくまで単純なモデルとして描いていますが、両者の一番の違いは、室内と躯体(コンクリート)の接点です。
 従来の一般工法では、室内とコンクリート躯体の間に断熱材があるために、室内の温度と躯体コンクリートの温度には差があり、むしろ外気の温度に近くなります。
 ところが外断熱工法では、室内と躯体コンクリートの間には内装材があるだけですので、室内温度と躯体コンクリート温度がほぼ等しくなります。
 前段までの説明で、コンクリートが温度を伝えやすい事はご理解頂けたと思いますが、その性質のおかげで、躯体全域の温度は、ほぼ等しくなります。
 つまり外断熱工法では、躯体のどの部分であっても、室内温度とほぼ等しい状態が作り出せるわけです。