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放送日 平成26年2月22日(mp3形式音声ファイルはこちら→) 
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 放送内容は、著作権の保護を受けますので、個人でお聞きになる以外のご利用は出来ません。

タイトル: 京都銭湯部ってご存じですか?~日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)ってご存じですか?
概要: 第三代京都銭湯キングでもある吉田 玲奈氏のまちづくり集団CHOBOの活動から、銭湯を通じた地元のコミニケーション活動、さらに町医者を目指す日暮手傳舎の活動を紹介します。
出演者: 吉:吉田 玲奈氏 京都銭湯部部長
(京都建築専門学校非常勤講師 日暮手傳舎代表)
崎:杉崎 和久氏 京都市景観・まちづくりセンター
半:半田 りなさん ちょびっと推進室インターン(龍谷大学経済学部2回生)
白:白井 一毅君 ちょびっと推進室インターン(龍谷大学経済学部2回生)
本:杉本 昌之君 ちょびっと推進室インターン(龍谷大学経済学部2回生)
絹:絹川 雅則 (公成建設株式会社)
 

左から 白井君、杉本君、吉田氏、絹川、杉崎氏


左から 絹川、杉崎氏、白井君、杉本君、半田さん
   放送内容については、無断使用を禁止させていただきます。この件についてのご連絡はこちらまで。
絹: まちづくりチョビット推進室!
Give me thirty minutes,I will show you the frontline of “まちづくり” and “まちづくり” people in KYOTO.
************************************************************************
絹: 皆様こんにちは。まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は地元京都の建設屋の目から見た京都の元気なまちづくりびとの紹介や、その活動の最前線をご紹介しております。
いつものように番組のお相手は当まちづくりチョビット推進室 絹川がお送りいたします。

■序章 まちぐらし集団“CHOBO”、覚えておいでですか? 
絹: さて、本日のゲストです。
京都銭湯部部長!変わった名前でしょう?
京都銭湯部部長の吉田玲奈さんです。吉田さんよろしくお願いします。
吉: よろしくお願いします。
絹: そしてサブゲスト、我らが京都市景観・まちづくりセンターから・・・。
崎: はい、杉崎です。よろしくお願いします。
絹: 杉崎さんは、何度目の登場でしたっけ?
崎: 今年度4度目です(笑)。
絹: ほぼ常連さんに近くなりました(笑)。杉崎さんです。
そして若いインターンということで、見習いさんで、龍谷大学から3人来ていただいております。
じゃまず、半田さんから行こうか。
半: はい、龍谷大学経済学部二回生の半田りなです。よろしくお願いします。
白: 同じく龍谷大学経済学部二回生の白井と言います。よろしくお願いします。
本: 同じく龍谷大学経済学部二回生の杉本です。よろしくお願いします。
絹: このお三方は、辻田素子先生のゼミ生です。
「チョビット推進室やコミュニティFMなどをゼミの活動に取り入れたらどう?」という提案をして、インターンという形で、時々覗いてくれています。
皆さんよろしくお願いします。

さて、本日のタイトルですけれども、「京都銭湯部って、ご存知ですか?~日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)って、ご存知ですか?)としたいと思います。
それでは、今日のメインゲストの京都銭湯部部長の吉田玲奈さんをご紹介します。
吉田玲奈さんは、当チョビット推進室は2回目の御登場?
吉: いや、2回目じゃないですね。前は中村くんが・・・
絹: あ、そうか。
中村さんは“CHOBO”のメンバーとして、町家に関わる若い人です。
では序章として、“CHOBO”の活動を振り返っていただきましょうか。

 ●もっと若者に町家ぐらしを楽しんでほしい!
吉: はい。以前出させていただいた時は、“まちぐらし集団 CHOBO”というのをやっていまして、若者が京都に住む時に、ワンルームマンションに住んでいる若者が多くて、家と大学の往復だったり、家と勤め先の往復で終わってしまって、「毎日それでいいのか?」ということで、「もっともっとせっかく京都のまちに住んでいるんだから、まちぐらししようよ」と。
それができるのがたくさんある町家じゃないかということで、もっと若者に町家くらしを楽しんでほしいな、という活動をしております。
絹: そうでしたね。
確か“CHOBO”の連中は、町家と言うか、木造の家屋で、ちょっと閉じてらしたり、倉庫になってたりするのを、大家さんのところに、
「“CHOBO”でーす。僕ら京都建築専門学校の学生なので、自分たちでセルフビルドとか設計とかもするし、片付けと工事をして、住まわせてよ」
という交渉を地道に仕掛けて、住んじゃった人たちです。
で、京都銭湯部の部長さんである吉田玲奈さんも、京都建築専門学校の御卒業で、かつそこの講師もお勤めになっていて、御卒業後8年くらい経つと。
吉: はい。そうです。
絹: 「ぎりぎり20代や」とおっしゃっていました。
吉: はい(笑)。よろしくお願いします。
絹: そして吉田玲奈さんは、そのかたわら、お気づきのように建築の専門家でもありますから、建築の設計集団も率いておられる。それが“日暮手傳舎”ですね。
変わった名前です。
それでは追々とそのお話をしていきますが、まずは京都銭湯部について、語っていただきます。

■エピソード1 京都銭湯部のこと
 ●京都は銭湯発祥の地です
吉: はい。皆さん、御存知の通り、京都にはお風呂屋さんがそこかしこにたくさんあるんです。
それと言うのも、銭湯というのは、京都が発祥の地なんです。
実は平安京ができた時から、お風呂屋さんの文化が始まっています。
日本ではもともとお風呂に入るという文化がなかったんですが、仏教が入ってきて、お寺が「施浴」という、庶民にお湯を施すということを始めたんです。
やはりお湯というのは、心身を健康に保ってくれますし、清潔になって、それが仏教の修行の1つでもありました。
それが庶民に施され、「なんや、お湯って、めっちゃ気持ちいいやん」というのが、庶民に広まって、それから“湯屋”という、その時はまだ湯船に浸かってないんですが、お湯を沸かして、お湯が沸けばまち中にほら貝が鳴り響き、人々がお湯を求めて集ったという由来があるんです。
絹: その当時って、確か蒸し風呂だったっけ?
吉: そうですね。最初は蒸し風呂でしたね。
特に鎌倉時代は、寒い時代で、そういう寒さをしのぐのにも、お湯がすごくよかったというので、だんだんだんだん「お湯って、ええやん」ということで、庶民に入浴の習慣ができてきました。
とは言え、京都には木造家屋、町家が多く建ち並んでいまして、まず狭い中に建ち並んでいますので、お風呂をつくるスペースがない。
つくるぐらいなら、お店とか家のスペースをつくりたい。
またお風呂をそれぞれで沸かしていたら、いつ火事になるかわからないということで、それぞれの家にはお風呂をつくられなかったんです。
それが昭和初期まで、個人個人がお風呂をつくるという文化が定着せずに、まちで1つ、地域でお風呂をシェアしたらいいやん!ということで、京都のまちには銭湯がたくさん残っているんです。
絹: 今、シェアハウスだとか、シェアルームだとか、シェアオフィスだとか、シェアが脚光を浴びていますけど、「そんなん、京都は昔からお風呂をシェアしとったやん」と(笑)。

 ●まちからお風呂屋さんが消えていく・・・
吉: そんなことで、お風呂屋さんがたくさんありまして、私はもともと建築の専門学校に通っていたので、改修作業をした後などに、ひとっ風呂、みんなで浴びに行くということが、よくありました。
学校の近くのお風呂屋さんにも行ったりしていたんですが、そうすると突然、2009か、2010年くらいでしょうか、燃料代がすごく値上がりしまして、1年間で10軒くらいバタバタとお風呂屋さんが潰れた時がありました。
当時、学校の近くのお風呂屋さんもなくなってしまって、そうしたらもうまちの風景が変わってしまったんです。
さらに、近所の人たちはなんとなく同じ時間帯にお風呂屋さんに通っていたんですが、場所がなくなると、その人たちが集まることって、なくなってしまうんですね。
お風呂屋さんでできていたコミュニティも、そこでなくなってしまって、「あの人、元気にしたはるかな」という声をそこかしこで聞いたりとか『これはちょっとマズイぞ』と思いまして・・・。
絹: それって、何年前くらい?
吉: なので2009年くらいですかね。
絹: 銭湯部をつくらなあかん、あるいは京都の銭湯をなんとかせなあかんと、玲奈さんたちが思いだしたのが、その頃?
吉: はい、そうですね。
絹: さっき、ホームページをちらっと見せていただいたら、その時の危機感というのをすごく感じていたらしくて、重機でお風呂屋さんが解体されていく、タイルが小さく割られていくのを見て、暗闇にまぎれて・・・。
吉: そうです。夜な夜なタイルを拾ったり(笑)。
絹: 「不審者やんか!」みたいな(笑)。そういう怪しげな行動をなさっていたと。
吉: いまだに残しています(笑)。

 ●お風呂屋さんの存在を知ってもらいたい!
絹: リスナーの皆さん、京都銭湯部の成り立ちというのは、そういう2009年、2010年のあたりから始まっています。
そしてホームページを見ていただきたいんですが、地道に京都の、例えば上京区、南区、東山区、左京区というふうにお風呂屋さんを調べて、手作り感あふれる素敵な銭湯マップを公開されています。
吉: その頃は、とにかく若い人にお風呂屋さんに行ってもらいたいと。
お風呂屋さんの存在を知ってもらいたい、日常生活の中で銭湯という言葉が、全然出てこないですよね。
本: やっぱり温泉というイメージがあって、区別するのがなかなか・・・。
吉: そうなんです。温泉部とか、言われることもあるので、「ち、ちがう!」と(笑)。
行ってもらいたいという一心でマップをつくったり、そういう活動をしていたんですけど、やっているうちに『なんか違うぞ』と、思い始めたんです。
絹: 何が違うって?

 ●経営者さんに元気を出してもらいたい!
吉: 若者がお風呂屋さんに行かないとか、家にお風呂が出来てきたとか、そういう原因もあるんですが、そういう問題以前に、お風呂屋さんの経営者さんたちがもう元気がないんですよ。
お風呂屋さんでも差があって、「まだまだ自分たちはやれる!」とやる気のあるお風呂屋さんは流行っているんです。
でも「もう時代が終わったから、もうええわ。自分の代で終わらせる」と思っておられる経営者さんのところは、だんだん掃除が行き届いていなかったり、元気がなかったりして、「あ、もうやめはるんとちゃうやろか」と思ってしまうんですね。
だからまずその経営者さんたちに、元気を出してもらわないといけないと。
それには「お風呂屋さんって、まだ全然時代遅れじゃないんだよ」と。
「これからまさに必要とされている場所なんだよ」というのを、経営者さんたちに伝えたいなと思って、その後はお風呂屋さんの新しい役割というか、もちろん今までもずっと担ってこられたと思うんですが、その役割を改めて皆さんに伝えたいなと思って、活動をしています。

 ●“第三代銭湯キング”の肩書も持っています
絹: 銭湯組合って、あるんですって?
吉: はい、あります。
絹: 吉田玲奈さんたち銭湯部の人たちは、頼まれもせんのに、銭湯組合の押しかけ広報マン、押しかけ営業マンのような活動もしてしまっていたわけですか?
吉: そうかもしれないですね。
まあ、組合さんと言っても、お風呂屋さんの経営者さんの集まりですので、日々のお仕事があって、そこまで動けないと思うんですね。
絹: 吉田さんの経歴を勉強していましたら、“第三代銭湯キング”という肩書もお持ちですけど、それはそういう広報活動に関係のあることですか?
吉: あ、そうですね!やっぱりそこを取らないと銭湯の活動はやっていけないと思いまして・・・。
絹: その“銭湯キング”について、短く語っていただけますか。
吉: 京都一の銭湯好きを決める大会というのがありまして、今まで歴代の方が取っているんですが、実は私は2回目から出たかったのですが、書類が間に合わなくて、2回目は補欠みたいになってしまいまして(笑)。
それで第3回に臨んだということです。
絹: “銭湯キング”の副賞が結構たいそうなものだそうで・・・。
吉: そうなんです。
実はそれが欲しかったというのがあるんですけど、暖簾がもらえたり、入浴券一ヶ月分とか、タオル一年分とかですね(笑)。

 ●子どもを育む銭湯文化
絹: で、今日、我らが、まちセンからお越しになっている杉崎さんは、どうもまちセンのなかで、「こいつは銭湯が一番好きそうや」というので、選ばれたそうですが(笑)。
吉: そうなんですか。
崎: そうなんです。
実は僕、まちセンの人はみんな銭湯を大好きだと思っていたんですが、意外と行かないということで、僕に振られた時に、「え、みんな違うの?銭湯、楽しいじゃん!」と(笑)。
前、うちのカミさんが北区に住んでいた時、結構北大路堀川の辺はたくさん銭湯があって、日替わり銭湯でもあるんです。
これが楽しくて、結構はまっていた時期がありました。
吉: あ、北区は結構激戦区です!
すごい深夜まで営業されているんですよね。
お風呂屋さんて、3時くらいからお湯を沸かし始めて、だいたい遅くても12時くらいまでかなというところなんですけど、北区は深夜3時くらいまで開いているお風呂屋さんもあるんです。
崎: そんなこともあって、やっぱ、銭湯がある京都って、楽しいなあと思っているんです。
絹: 僕も子育て時代と言いますか、子どもが小さい時は、あえて意識して銭湯巡りをしていたことがあって、知らないおっちゃんに風呂の入り方のマナーとか、教えられていたとか。
「わ、このビリビリのお風呂、こわい~」とか言いながら(笑)、というのも、『ちょっと、やっぱりやらしとこ』みたいなところもありましたね。
吉: 杉崎さんも、まさに小さいお子さんがおられると思うんですけど。
崎: うちは娘なので、おばあちゃんが来ると、おばあちゃんとカミさんと娘と3人で行くのがイベントになっていますね。
吉: あ、いいですねえ。
やっぱり子どもの時から、色んな大人に接しておくというのは、すごく大事なことだと思うんですね。
家の中の環境だけじゃなくて、「世界には色んな人がいるんだよ」ということを、知っておくと、やっぱり度胸もつきますし、色んな人に話しかけられるスキルも身につきますし、世界がすごく広がると思いますね。
絹: うちの息子なんかも、「風呂入らへんのか」「シャワーだけでええわ」みたいな、寂しいとこありますよね。
吉: 特に若い人はシャワーだけで済ませることが多いから。
本: 下宿だとシャワーで済ませることが多くて、なかなか・・・。
吉: そうですよね。
家のお風呂だと1人でお湯をためて入ってももったいないな、めんどくさいなという感じがするんですけど、お風呂屋さんに行ってもらうと、入りたい時に即、沸いてますから、適温で(笑)。

 ●番台に座って、気付いたことー銭湯の潜在パワー
絹: 吉田さんたち銭湯部は、そのお風呂のすごさを感じたわけですけど、今、活動で、何人ぐらいおられるんですか。
吉: 今、15人くらいいるんですけど、だいたい社会人と学生さんが半々で、男女比も半々くらいで。今、番台のお手伝いをさせていただいています。
絹: なんと!番台に座れる!
古い人にとっては、「おお!」とかって、思うことなんですけど、2軒のお風呂を手伝っていると、さっきおっしゃっていましたね。
吉: ええ。上七軒の桜湯さんというところと、まちセンさんの近くの梅湯さんです。
絹: そういうお手伝いするなかで、何かいい経験とか、気がついたこととかありますか。
吉: すごく面白いなと思ったのは、皆さんお風呂に入りに来られているというよりも、人としゃべりに来たはるんですよ。
絹: 実はそうなんや・・・。
吉: ある日、番台に座っていたら、おばちゃんが入ってきて、「なんや、今日貸切やん」みたいな感じで、脱衣場にいはるんですけど、ずっとテレビを見て待ってはるんですよ。お風呂に入らずに。
絹: あ、誰かと一緒に入ろうと、誰かが来るまで。
吉: そうなんです。誰かが来るのを待ってはるんです。
で、誰かが来て「貸切やから、待ってたわ」みたいな感じで、お風呂に入ったはったりして、そんなのも面白いなと思ったり・・・。
それから番台に座っていて思うのは、何気ない挨拶が、本当に頻繁に生まれる場所なんですね。
日常生活で挨拶って、1人暮らしだと、なかなかする機会が少ないと思うんですけど、お風呂屋さんに行くと本当に簡単な「こんばんは」から「いい天気やね」とか、「ありがとう」「いいお湯やったわ」とか、本当に最高の笑顔で皆さんが言って下さるので、何か挨拶が自然に生まれる場所やなと、すごく思いましたね。
絹: 何か、湯屋と言いますか、銭湯と言いますか、底知れぬ潜在パワーを感じますね。
吉: はい。
1人暮らしの学生さんとか、地元から遠く離れて来ている若い人も多いので、おばちゃんに「もうすぐ地元に帰らんとあかんねん。でもお母さんが進路反対してて・・・」とか、そういう相談をしてたりとかですね(笑)。
おばちゃんとジャニーズの話で盛り上がっていたりとかですね。
なにかこう、血縁関係じゃないんだけれども、なんとなしに気軽に悩みが打ち明けられる場所だったり、それこそ子育て中のお母さんなんかでも、家の中でずっと子どもと1対1で育てていると、すごく大変だと思うんですけど。
絹: 煮詰まります。本当に煮詰まるんです。
吉: それがちょっとお風呂屋さんに行くことで、気分転換になるし、おばちゃんに「見といてあげるから、頭洗い」とか言われたりとか、もう本当に何気ないことなんですけど、そういうのですごく救われたりしますよね。

■エピソード2 日暮手傳舎(ひぐらしてったいしゃ)のこと
 ●日本の暮らしのお手伝いをしています
絹: 京都銭湯部の皆さんは、そういう活動を通じて、銭湯のすごさというのを、色々な方に伝えていこうとしておられるわけですね。
もう1つ、銭湯のすごさというのは、吉田さんたちが建築の専門家である、“日暮手傳舎”というのを率いておられるということと、どうも密接に絡むみたいですね。“日暮手傳舎”って、どんな字を書くんですか。
吉: 「日本の暮らしのお手伝いの舎」と書きます。「その日暮らし」じゃなくって(笑)。
絹: 吉田さんの御自宅である町家には、昔お風呂がついてたけど、壊しちゃったと、さっき言ってたよね。
吉: はい。私が今住んで、事務所兼家にしているのは、古い長屋なんですけど、もともとお風呂がついていたんです。
ただ、それは無理やり、庭の部分を潰して、お風呂が建っていまして、そのせいで光は入らないし、風も入らないしという、すごく劣悪な環境になっていたんです。
まあ、そういうお家は京都は多いと思うんですけど。
で、近所に3~4軒、お風呂屋さんがありますし、とにかくお風呂に通いたい方が強かったので、『もう、お風呂いらんわ』と思いまして、自分で壊しました。
絹: “日暮手傳舎”は、吉田さんともうお一方、施工を担当する、いわゆる昔の“てったいさん”の2人でなさっている・・・。
吉: そうですね。大工さんと2人で。
絹: 設計する図面をひくだけではなく、施工もやっちゃうと。
昔からそういう大工の棟梁と“てったいさん”がいたら、町家の修理だとか改修などは出来てしまったというのを、もう一回、この平成の世に再現しようという活動のようですね。

 ●ささいなことでも相談してください
吉: そうですね、やっぱり今、一般の方、例えば古い家に住んでられて、「家をなおしたい、相談したい、ちょっとしたことなんだけど相談したい。でもどこに相談したらいいんやろう」という方がいらっしゃる。
どこか工務店さんに行っても、すぐ見積もりで、「じゃあ工事しましょか」という話になるんじゃないかという、どこに相談したらいいのかわからないと思っておられる方が多いと思うんですね。
ほんとにちょっとした、「うちのお父さんがいたら、屋根とか直してもらえたのに」とか、そういう本当に気軽な悩みから、相談してもらいたいなと思っています。
絹: このまちづくりチョビット推進室に、数年前にまちぐらし集団の“CHOBO”さんが出てくださいましたが、一等最初にご紹介したように、建築専攻の学生さんたちが町家を片付けて、改修して、住まわせて下さいとまで、やっちゃう人たちだった。
それを広げていく活動が、進化して、年を経て、設計事務所と、そういう大工の棟梁とが組んで、ちょっとした町家ドクターと言いますか。
吉: そうですね、町医者になりたいなと思ってます。
絹: そうや、町医者や!そういう人たちが、「銭湯って、大事だよね」と。
その延長線で、色んなお話が、工事の最中も御近所さんとできるような、そんな大工さんと“てったいさん”と設計事務所と、それと銭湯部と、吉田さんのなかでミックスですね。

 ●銭湯部の活動も、建築の仕事も、目指しているのはコミュニティの再建
吉: そうですね、もう自分がしたいこと、大事なことは、全て根っこでは繋がっているなと、日々思っていまして、銭湯の活動にしろ、建築の工事にしろ、それを続けていくことでコミュニティをつくっていきたいなという思いでやっています。
絹: 銭湯の中にもコミュニティを繋ぐ、メンテナンスする機能が当たり前にあるよと。そしてお風呂屋さんが人を繋いでいるよと。
わざとらしくない地域の福祉、福祉と言うとカタイけど、何かそんな大事なものがあるよと。
吉: 毎日の、お風呂に入るという当たり前の行為のなかで、そこで人を繋げるというのは、本当にすごいことだと思うんです。
絹: 何か、ほぼまとめになっちゃったような気がします。
京都銭湯部という活動をされている吉田玲奈さん、部長さん、そして“日暮手傳舎”という設計事務所という大工さんとのチームを率いておられる吉田玲奈さん、1人の人間のなかに、こういう大切な地域のコミュニティを楽しく元気にするという機能が満載されているようです。
是非、皆さん、銭湯に行ってください。あるいはホームページを覗いてくださいね。

それでは我らがまちセン、景観まちづくりセンターからの告知タイムです。

 ●景観まちづくりシンポジウム、開催します!
崎: はい。2月23日に、1年に1回、“景観・まちづくりシンポジウム”というのをやっておりまして、午後、“ひと・まち交流館”で、開催します。
今年は、「これからの地域まちづくりの担い手」ということで、実直なテーマで取り組みたいと思います。
このなかで、以前この中で登場した“つくるビル”の石川さんも五条のお話で登場しますので、よろしくお願いします。
まだ、絶賛申し込み受付中です。

 ●五条縁側ミニツアー、開催します!
絹: そしてもう1件、私のほうから告知です。
五条新町の“つくるビル”の石川さん絡みで、もう1件。
3月21日春分の日、“五条縁側ミニツアー”と称しまして、ツアーを開催します。
“つくるビル”の石川さんのところと、“アートスペース寄す処(よすが)”の沼沢さんという、茨城県警の強行犯係の刑事さんを辞められた方が、アートスペース型町家・まちの縁側を開いておられて、そのお二方がすごく近いので、まち歩きツアーをやります!
またフェイスブックページ等を、できたら見てください。

ということで、時間となりました。
この番組は、心を建てる公成建設の協力と、京都府地域力プロジェクト、そして我らがまちセン、京都市景観・まちづくりセンターの応援でお送りしました。
吉田玲奈さん、京都銭湯部部長さん、ありがとうございました。
吉: ありがとうございました。
絹: 皆さん、ありがとうございました。
一同: ありがとうございました。
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