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放送日 平成18年11月1日(mp3形式音声ファイルはこちら→)
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 放送内容は、著作権の保護を受けますので、個人でお聞きになる以外のご利用は出来ません。
ちょびっと
タイトル: 「野菜の流通から“国づくり(農)”を支える、クールな熱血漢ここにあり!」
テーマ: 食の流通を通じて“まちづくり”を超えた“国づくり”に貢献する、京都中央卸売市場の仲卸、(株)カネウメの安藤隆一氏にお話を伺いました。
出演者:
安:安藤 隆一氏 京都中央卸売市場の仲卸をされている(株)カネウメ常務  
絹:絹川 雅則 (公成建設株式会社)
ちょびっと
 放送内容については、無断使用を禁止させていただきます。この件についてのご連絡はこちらまで。  
絹: :まちづくりチョビット推進室!
************************************************************************
絹: 皆さまこんにちは。
まちづくりチョビット推進室の時間がやってまいりました。
この番組は、地元の建設屋の目から見ました、京都の元気なまちづくり人の紹介や・・・すいません、いきなり噛みました。
その最前線をご紹介しております。

今日のゲストは、「(株)カネウメ」の安藤隆一常務さん。
京都の食を預かる、京都中央市場の仲卸を生業となされている方です。
安藤さん、よろしくお願いします。
安: はい、こんにちは。安藤です、よろしくお願いします。
絹: お願いします。おいおい安藤さんのお話を引っ張り出すといたしまして、今日のテーマです。
皆さん、疑問に思ってられると思うんですけれども・・「食を預かる方が、何でまちづくりチョビット推進室のゲストやねん?」と・・・
今日のテーマは、「食の流通から、“まちづくり”を超えた“国づくり”」。
まちづくり人の紹介をしているんですけれども、国づくりのところにも、食の流通に関われる安藤さんは大きく関わっておられると言うことを、最近知りまして、それで今日は来ていただきました。
ですから、今日のテーマは「食の流通から、“まちづくり”をさらに広げた“国づくり”を見る」言うことであります。
では安藤さんに、マイクをお渡しします。
まず、安藤さん、どんな仕事をなさっているのか、その辺からリスナーの皆さんにお願いします。
安: はい、初めまして。私、安藤隆一と申します。
京都の中央卸売市場・・野菜、魚、塩干(えんかん)と色々と卸しをしておりますが、先ほどご紹介いただきました、仲卸という職種ですね・・
絹: はい。
安: 皆さん、あまり耳にされたことがないだろうと思うんですけれども。
絹: えぇ。
安: 私どもは、野菜を・・野菜を全般に、全ての野菜を扱っております。果物は、直接的には販売してないんですけど、「野菜の仲卸し」と言うのが私の職業です。
絹: はい。
安: で、野菜というのは、皆さんが口にされるまで、一番皆さんがお買い求めになっているのはですねぇ・・日経の統計にあったんですが、スーパーマーケットって有りますね。
絹: はい。
安: スーパーマーケットの売り場と言うのが、日本全国で大体、7割ぐらいのシェアーを野菜の販売で持っているんですね。
もちろん大小はあります。
絹: わぁ、大きいんですね、シェアー。
安: そうですね。まぁ大きいスーパーマーケット、イオンさん、イトーヨーカ堂さん・・今、一所懸命がんばってらっしゃるダイエーさん・・・が、大手のトップリーダーなんですけれども、小さいですね、街中で一軒二軒で生業なさっているスーパーマーケットも全て入れて、大体7割ぐらい。
八百屋さんというところではなくて、スーパーマーケットというところの売り場で7割ぐらいの野菜を販売してます。
絹: そういたしますと・・・残りの3割が、昔ながらのいわゆる「八百屋さん」とか・・
安: そうですね。
絹: 大原女(おはらめ)さんとか・・
安: えぇ、そうですね(笑)。
直接リアカー牽いて・・・
絹: はい。
安: よく最近、イタリア料理のシェフなんかが、直接上賀茂の方にいろんな野菜を作っていただいて・・・
絹: はい。
安: それを買い求めに行ってらっしゃいますが、そう言うところのおばちゃん、おばあちゃんって言うのは、昔リアカーを牽いて、京都の町へ野菜を売りに来たと言うような・・そういう風な・・今も残ってますけれども。
絹: 僕の子供の頃は、僕の近所まで・・上京区の辺まではよく来たはりましたね。
安: えっ、そうですか(笑)。
絹: はい。
安: 野菜って言うのは・・まぁ、くだものもそうなんですけど、中央市場って言う言葉は、皆さんよく耳にされると思うんですが・・・
絹: はい。
安: 中央市場って言うところに、まず生産地から・・
絹: はい。
安: トラックに積まれて、ものが集まってきます。
絹: はい。
安: その中央市場の中に、機構・・機能としてですね、その荷物を受ける会社・・荷受会社というのが有ります。
絹: はい。
安: 荷受け会社が、ものを生産地から受けて・・要は、中央市場が一端仕入れるんですね。
絹: はい。
安: で、そこから、我々「仲卸し」という・・・・この「仲卸し」と言うのは、直接ユーザさんですね・・スーパーマーケットさんですとか八百屋さんですとか、そう言うところに「卸す」のが、我々「仲卸し」と言う・・・
絹: はい。
安: ですから、結局「荷受け会社」って言うのを「卸し会社」という・・・
そこから我々は、「仲卸し」と言う、「中」と言う字が頭に付く・・・。
こういう、昔から職種がございまして・・・
ですから、もちろん中央市場って言うのは、「小売りはいたしません」とよく書いてありますよね。
絹: えぇ。
安: まぁ実際、小売りするんです。
絹: ほうほう。
安: で、しようと思えば、出来るんです。
ただ・・・当然白菜は六玉入ってますし・・
絹: はい。
安: キャベツは八玉・・八つ入ってますし・・
絹: はい。
安: まぁその、ケース単位でしか、販売することは出来ないんですね。
ですから、買って持って帰りますとですね、一週間鍋せないかんと(笑)、まぁいうような・・・(笑)
絹: 町内に配りまくらなあかんというようなことですね・・・
安: そうそう、そうですね・・・
ですから、小売店という・・スーパーマーケットなり八百屋さんと言ったところで、必要な分だけ、お客様は買って帰っていただくと言うような、こういう流通って言うのが、往年からずっと続いているというのが、野菜流通の現状ですね。
絹: はい。
安: 私どもは、当然、京都の中央市場って言うのは・・・京都って言うのは絹川さん、有名な料理屋さんが沢山ありますよね。
絹: えぇ。
安: あれは仲卸しの中でもジャンルが分かれてましてね・・例えば料理屋さん専門に卸す仲卸し・・
絹: はい。
安: はい。我々みたいな、スーパーマーケットに卸す仲卸し・・・
絹: はい。
安: もしくは、加工食品ですね。
絹: はい。
安: 加工食・・例えば、缶詰・・水煮みたいなものを作ったりですね・・
絹: はい。
安: デリカ・・出来上がったおかずを作る、加工食品会社に卸すのを専門としているような仲卸しさんと、いう風にジャンルが分かれるんですね。
絹: 仲卸しさんにも、色々種類があると、言う事なんですね。
安: そうですね。
絹: で、安藤さんがお得意なのは、スーパーさん・・・
安: はい。そうですね。
絹: なんかに、卸すお仕事が、だいぶん多いと。
安: そうですね。私どもはスーパーマーケット専門に、生業を立てさせていただいているんですが・・・
私どもは・・そうですね、京都から近くのスーパーマーケットですから、宣伝をしているわけじゃなんですけど・・
絹: はい。
安: 私どもは、滋賀県に本社があります、「平和堂」さんって言うスーパー・・・
絹: はい。
安: 「アルプラザ」ってよくありますよね。
絹: はい。
安: ・・とか、「フレンドマート」って言う名前で、スーパーマーケットを表示してありますが、「平和堂」さん・・あと和歌山に本社があります、「オークワ」さんて言うスーパーマーケット。
あと、福知山の「さとう」さんって言うスーパーがあります。
絹: はい。あのぅ、京都府の北部の方行くと「さとう」さんて多いですね。
安: そうですね。食品を扱う店舗数としては、三十数店舗なんですけれども、今も「平和堂」さんで117店舗・・・
絹: はい。
安: 「オークワ」さんで約130店舗。まぁ大小・・店の大小はありますけれども、店舗数でそのぐらいございます。
絹: はい。
安: まぁ、押しも押されぬ中堅スーパーさんですよね。
絹: そうですね。
安: はい。
絹: で、リスナーの皆さん・・・中央卸市場・・中央市場と仲卸しのお仕事・・・
基本的なところ、まず安藤さんがご説明くださったんですけども、ご理解いただけましたでしょうか?
さて、これは導入です。
で、僕は、安藤さんからお話を伺って、「へぇー」って思ったことが実はあるんです。
こないだ、安藤さんのご案内で、中央市場の中を見学させていただきました。
安: はい。朝早くからご苦労さまでございました。
絹: すっごい活気のあるところでした。
京都の食をここで預かって、京都市民の口に、こっから入ってくるんだなぁって・・
「すっごい量だなぁ」って言いましたら、安藤さん曰く、
「ここに見えてるの、ほんーとの一部なんですよ」って言うような話をしていただきまして・・・
安: はい。
絹: で、その時に・・後で雑談の中で出た話が、
この頃スーパなんかでも八百屋さんなんかでも、「顔の見えるお野菜」。
「産地直送」って言うんじゃないんですけども・・・例えば、どっかの産地の“安藤さん”って言う方が作って、その方の顔が見える・・私が責任持って作りましたって言う様なお野菜だとかくだものは、よく出ておりますよね。
安: はい、多くなりましたねぇ。
絹: で、そう言うことを、比較的早くから京都で始めている方が、この方だったんだと・・言うのを知らなくって・・・「おおっ!」と思ったわけですね。
安: はい。ありがとうございます。
絹: その辺、少しお話しいただけますか。
安: はい。もう、今ではですね、特にスーパーマーケットで有名な「イトーヨーカ堂」さんなんかでは、「顔が見える野菜」と言うのを、一つの自社ブランド、安全としてのブランド、安心としてのブランドとして、推進されてますが・・・
私が一番初めにですね、畑・・その生産地へ赴きまして・・私どもは、北は北海道から、南は九州沖縄まで、全ての地域、エリアの畑から野菜を仕入れます。
全国いろんなところに飛び回っているんですけれども、今から十五年位前になりますかね・・
十四、五年ぐらい前に、初めて農家さん・・どんな人が作っているんだろう?
私、素朴な疑問だったんですけど、スーパーマーケットで売ってる、ナスビだったんですけれどもね・・
絹: はい。
安: ナスビとトマトだったんですが・・・
絹: はい。
安: 例えば、岡山産ナスビ・・・福岡、熊本、宮崎産トマト。
絹: はい。
安: じゃぁ、その並んでいるトマトは、どれが福岡でどれが熊本で・・そこまで区分けをしないような時代だったんですね。
絹: ほー。
安: 農家さん・・じゃあどんな農家さんが作ってるんだろう?
八百屋さん・・我々中央市場でこういう野菜、八百屋のプロフェッショナルが抱く疑問としては、あまりにも素朴すぎるんですが、作っているおっちゃん、おばちゃんの顔をお客さんに見せてあげれたら、「あっ、こんな人達が作っているのね」という風に思ってもらえる。見に行くわけに行かないじゃないですか。
絹: はい。
安: 198円、298円で普段スーパーマーケットで購入できるものをですね、何万円もかけて、その農家さんを見に行くって言うのんが、やはり大変・・・費用もかかるし。
絹: はい。
安: おもしろい話が有りましてね。
初めてその・・十四年ぐらい前ですかね。農家さんの写真を撮りたくて・・・
生産されているビニールハウスの中で、いつも働いてらっしゃる姿を撮りたかったんですね。ですが・・・
絹: はい。
安: 行けばなんと、スーツと・・・・
絹: (笑)
安: ですね(笑)・・・
絹: 背広着たはるんですか(笑)。
安: 背広着てネクタイ締めてですね、奥さんはドレス着てですね・・・
「いや、ちょっと待ってくれ。おっちゃん、違うんや」と・・・(笑)
実はこういうのんが趣旨なんですよと、言うような話からですね・・・
当然そう言う話は、畑に持って行きますと、私どもは、先ほど申しました私どものお客様、ユーザ様が、結構店舗数多く展開なさっているので、私どもから卸さしていただく野菜って言うのは、結構広く、多店舗で販売をしていただいています。
当然、我々はそこに買いに来ていただけるお客様の、やはり「安心感」と・・・
絹: はい。
安: 野菜ってのは、“三つ”なんですよ。まずは、美味しいこと。そして新鮮、鮮度があること。
そして安心して買って、食する事が出来ること。又、安心って、いろんな今、表現があるじゃないですか。
絹: えぇ。
安: 特に「食の安心」ですとか「安全」ですとか、かなり今年の五月からですねぇ、ポジティブリスト制度と言いまして・・・
絹: 初めて聞きます。ポジティブリスト制度?
安: はい。799種類の農薬が有るんですが・・
絹: はい。
安: そのすべての農薬・・・
絹: はい。
安: の、残留農薬、と言います。その基準って言うのが農林水産省で決められているのですが、そのどの一つが、出荷、販売される時に残留濃度として検出されても駄目だと言う、そう言う法律が施行されました。
絹: はい。
安: はい。これは大変なことで・・・それだけの全ての農薬が、その基準を少しでも、買われるときに、上回っていては駄目なんですね。
絹: うーん。
安: こういう・・まぁ、当然買いに来ていただけるお客様のですねぇ・・やはり、野菜、果物・・農産物に対する、安心感を買いたい。
安心して食べてもいいもの・・・。
私よく生産地へ行ってですね、農家さんを集めて、よくお話をさせていただくんですが・・
絹: はい。
安: その農家さんが、子や孫に食べさせてやりたい野菜を、自分で作ってくれと・・・
絹: うんうん。
安: あなたのお孫さんも美味しいと言って食べてくれる、安心して孫に食べさせられるもの・・・
これは、どのスーパーさんで販売しても、お客様に安心して食べていただけますよねぇ。で、そう言うような、消費者の方の不安感から、農林水産省の方で・・・遡るんですが、ここ2〜3年の間に、いろんな規定が設けられました。例えば有機栽培農産物ですとか・・
絹: はい。
安: 特別栽培農産物ですとか。
絹: はい。
安: 特別栽培農産物って言うのは、その一都道府県で、使われている農薬・・化学肥料の使用が・・・ここから先、ちょっと難しい言葉になるんで省きますが・・・通常、その都道府県・・一都道府県で決められている半分以下。
絹: うんうんうん。
安: 使われている半分以下で、作られているって言うのが証明されるものって言うのを特別栽培農産物って言うんですが、結局・・
絹: より安全だ・・
安: そう言うことですね。それを表示するために、細かーい農薬の名前から、それに使われている化学成分から、全部を表記しなっくちゃならないんですね。
絹: うん。
安: でも、皆さんよーく考えてみてください。
我々はプロですから、ある程度、その農薬の品名を聞いても判るんですが・・
絹: はい。
安: ダコニールとか・・カタカナなんですね。
絹: はい。
安: で、それ聞いて、「じゃぁこれ、どこに危ないの?」「どう安全なの?」って判らないじゃないですか。
絹: はい。
安: 家庭菜園でされている方ならよくお判りなんですが、そう言う言葉を聞かれても、奥様が全くそう言う農業にタッチしたこと無いようなご環境のご家庭なら、ぱっと見ても「これ何するもの?」って判らないんです。
絹: 例えばうちの嫁さんに、コンクリート混和剤、AE減水剤とか高性能とか言っても、判んないですね。
安: 判んないですね。(笑)
で、やっぱり私が一番考えたのは、そのお客様に一番安心していただけるのは、“どこのどんな人が作った野菜なんだ”と言うのを、きっちりと・・お客様買っていただける一単位に、表示しようじゃないかと・・・
絹: うん。
安: そこから生まれたのが“顔の見える野菜”って言うんですね。
私どものユーザーには、バイヤーさんって言うのがいらっしゃるんですよね。
絹: はい。
安: 購買担当者の方と一緒に畑へ行きまして、「ここで、こういう方が、こういう風にして、作られてるものです」と・・・
それを「是非、ここのスーパーマーケットで売りたい」と・・・生産者と話します。
また、野菜って言うのはいろんな等階級って言うのがありまして、よくスーパーマーケットで並んでいるキュウリって真っ直ぐですよね。
絹: はい。
安: トマトって、赤くって、なんか中ぐらいの大きさで丸い形してますよね。
スーパーマーケットって言うのは、セルフ販売形態なんですよ。
八百屋のおっちゃんがですね、「おばちゃん、おばちゃん。今日はええトマト入っているでぇ」って言って、宣伝しながら、あまり普段売らないものですから・・・
絹: そうですね。
安: お客さんのセルフ販売ですから、見て「形が良いかな?どうかな?」ってのにこだわり、売り場を綺麗に見せるって言うことを、ずっと推進してきたんですが、やはり農産物って言うのは大小があるんですね。
絹: うん。
安: 形の悪い農産物ほど、実は美味しいと言われる農家さんも・・・実はあるんです。
絹: そうです!そこです!
安: はい。
絹: 安藤さんにそれ言って欲しかったんです。
安: はい。
絹: あのね、顔の見える・・安全なと言うか、責任を持った生産者が、消費者のために作っているんだと・・・
自分の身内に食わせるものと同じレベルのものを作っているんだ、と言う事に、早くから着手されていた。
安: はい。
絹: 畑では煙草を吸っても・・・
安: 駄目です。
絹: 「駄目ですよ!」って言うことを言い始めた・・・
安: はい。
絹: それプラス、真っ直ぐじゃないキュウリ・・形の悪いキュウリも・・・
安: 商品にしよう。
絹: 併せて、仲卸しである安藤さんは、「全部まとめて買います!」って事を始めたんですよね。
安: そうですね。
絹: そこを、ビックリしたんで、そこをお願いします。
安: いやぁ、ありがとうございます。
ジブリレコーズって宮崎駿さんの映画に、「となりのトトロ」って有りましたよね。
絹: はい。
安: あのときに、主人公の女の子のおばあちゃんのところへ行くんですが、「バッちゃんのキュウリは曲がってるが、美味しいよ!」って言う、一つフレーズが有ったんですが、農産物って言うのは、当然矯正かけたり薬かけたり、いろんな事をすると形は良くなります。
絹: はぁ。
安: でも、自然で作ると、いろんな形のものが出てくるんです。
絹: はい。
安: 色々あるんですが、種類・・根菜類ですとか果菜類ですとか、木になるもの、土の中になるものとか有るんですが・・その種類によって分かれますが・・・
おしべとめしべが交配されて出来て来るものですから、当然、いろんな形で成長してくるんですね。
絹: はい。
安: 子供さんもいますよね。大きい子、小さい子。
絹: えぇ、えぇ、えぇ。
安: 男の子も女の子も、いろんな子が、皆、千人千色有るように、野菜も千色有るんです。
絹: はい。
安: その曲がったものも、「切って食べたら一緒じゃないか」
そんなことより農家さんは、「あなたのお孫さんに食べさせるもの」「安心してお客さんが買っていただけるもの」、そして「美味しいもの」を作りましょう。
で、あなたの自分の顔の写真を、その一お客さんの購買単位のパックに貼りましょう。
又、うちは自社で商品パッケージを全部デザインするんですよ。
絹: はい。
安: で、その産地って言うのが、例えば熊本県でしたら、「ここにはこういうものがあって、こういう土で、こういう作り方してます」。
で、「私が作ってます」って言うのをきっちり表示してください。で、責任を持って作ってください。
あなたの顔写真が、私のユーザーさんのスーパー・・・二百数十店舗有るんですが・・すべてに並びますよ。だから、責任持って作ってください。責任感なんですよね。
絹: うんうんうん。
安: お客さんは、「そこまで農家さんが自分の顔出しているんだから」「そこまで自信を持って届けてくれるんだったら」「安心して買えるよね。」
こういう掛け渡しって言うのは、今までなされてこなかったんです。
顔が見えるって言うのは、本当に農家さんの顔が見えるんですね。
絹: うん。
安: で・・時間も押してますが・・・絹川さん、最後に一つ。
絹: はい。
安: じゃぁ、消費者にとって顔が見えるんであればですね、農家さんにとっても顔が見たいんですよ。
その農家さんには、「あなたの作った野菜・・農産物は、ここのこういうスーパーの、こういう地域のこういうお客さんに買ってもらってますよ」って言うのを、全てオープンにします。
絹: あれでしょう?農家の皆さんを連れて行かはったんでしょう?
安: そうです。
一番最盛期の時に、ちょっと奥さんに任かしといて・・もしくはご主人に任しといて、そこの農家さんを、私のところのユーザーさんの売り場へ連れて行って、「ほら、あなたのは、こういう小売店で、ここで販売していますよ」
絹: ふんふんふん。
安: それを見ると生産者の人達に責任感がわきます。
例えば京都のこういうエリアの・・・こういうスーパーで俺の野菜を売ってくれてる。
彼らにとって、出来た野菜を出荷するのは、娘を嫁に出すのと同じ気持ちなんですね。
絹: うーん。
安: そのくらい丹精を込めて、作ってください。そしたら、あなたが担う農業は、この地域のこういう人達に、安心して野菜を沢山取って頂き、この地域の人達の食を満たします・・・これは農家の責任感とプライドになるんですよ。
絹: えぇ。
安: で、そう言うプライドを農家さんが持てれば、自分が責任有る立場になりますよね。そうするとねぇ、ありがたいことに、後継者の若い息子さん達が・・・
絹: そこだ!そこだ!
安: 帰ってこられてましてねぇ。
絹: はい。
安: つい先日、政府も農業に対する補助制度の問題で、後継者の育成がきちっと出来ているJAには・・・優先的に出ると言うような法令が認められたんです。
やはり、これから、この日本の農業を担っていく、二世代、三世代、四世代目ですね。
息子さん、孫さんが、どんどん、この農業を継いでいってもらうためには、「責任有る作り方」・・あと、「責任有る販売」。
どんなお客さんだって言うのは、自分が判って作るのとですね、出せば終わりだと言うのでは、やっぱり自分のプライドが違うわけですよね。
絹: うーん。
安: で、その若い人達って言うのは、「俺が親父の手伝いをして作ったトマトは、ここ行ったら売られていたよ。親父の顔があったよ!」って言うのを、やっぱり一つの・・どういいますかね・・自信って言いますか、その農業に対するプライドと責任が生まれてくるんですねぇ。
そうすると、その農業を自分が担う、この畑を耕すと言う事に対して、すばらしい夢を持ってくれるようになりましてねぇ。
よく私は、生産地へ行ったら、ちょっとお酒一杯飲みながら、そう言う話をするんですがね。
引き継がれていき、日本の農業が衰退しない為にも、やはりどんどんと作る方には誰に買ってもらって、誰に食べてもらうんだ、と言うことを・・・。
買って食べていただける方は、どこのどんな方が作ってらっしゃるんだ、と言うことを・・・。
これが本当の「顔が見える」って言う流通だと私は考えています。
絹: そこなんですねぇ。安藤さんが、そう言うトライを始められて、お父ちゃんが・・農家の親父さんがプライドを持たれた。
それを見て・・どこで売られてるかと、自分のおやっさんが作ったトマトが、キュウリが、ここで売られているって事を感じ取ったご子息が・・息子さんがプライドを持った。
で、後継者としての覚悟をそれで決めていくと・・・
安: はい。
絹: えらい影響を与えているんですね。
安: ですね。熊本の或るミニトマト農家のオッチャンがいてまして、その娘さんでしたかねぇ・・・娘さんか姪御さんが、実は関西の高槻と言うところに嫁がれていたんですね。
絹: はい。
安: で、うちのユーザーさんのところに買い物に行かれてて、そのオッチャンの顔写真を・・実は私たちが作りましたって、一つ一つに、私とこでデザインをして貼ってたんですね。
いきなり電話かかってきて、「オッチャン、顔写ってるで」って言う風に・・・まぁまぁそんな言葉なんかどうかは判らないんですが、そう言う熊本へ電話が入って・・・
で、その人、飛んで売り場へ見に来てくれたんですよ。
農業ほったらかして(笑)。
絹: はい。
安: 「なぁ、安藤さん。京都の市場で提案してきてくれた事って言うのは、本当にこうやって売られているんだなぁ」と・・・
判らないもんじゃないですか。
絹: うん、うん。
安: 田舎から都会へ嫁がれてですね(笑)・・・飛行機で一時間も一時間半もかかるところで、自分の親父さんやら叔父さん達が作ったものが売られているって言うのは、ものすごくうれしかったって言う風に、ありがたい言葉をいただきましてね。
絹: はい。
安: だから「すごい安心が出来る」と。そう言う見えるもの・・農薬の種類や、ややこしい記号を知るよりも、やはり人間ですから、どこのどんな人がって言うのが、一番信用になるんじゃないかなと、私は思いまして、がんばって続けさせていただいているんです。
絹: 皆さん、どうです。いい話でしょう?
で、それとプラスアルファ・・・さっきの曲がったキュウリって言うような話。
これはね・・・安藤さん教えてくれはったのは、「畑では曲がったものも出来ますやろ。それも合わせてうちが買います」ってやったんですよね。
安: そうですね。
絹: で、それをさっき言ったデリー?・・デリカ?
安: はい。
絹: ・・加工の方で活用されていると。
安: そうですね。スーパーマーケットって言うのは、当然、野菜売り場もあれば、総菜売り場・・今、デリカすごいですよね。
絹: はい。
安: まぁ、なかなか働く女性の方も増えて・・ちょっと一品出来合いのものを・・美味しいものをというときに、一生懸命安心や美味しさを青果・・野菜の売り場でやってますから、「それを使って作ったおかず一品」と言うのを、同じスーパの中で展開したら、「あっ、あれあっちの野菜売り場に売ってたやつ、こんな風に料理出来てんねんね」
当然、大きいものから小さいものまで、色んな段階のものがありますから、その「格外品」と言うやつですね。あまりにも大きすぎて、曲がりすぎてて売れないものを、同じそこのデリカの工場の方で、総菜にしていただければ、これも又販売することが出来る。
絹: かつて、他の・・安藤さんじゃない、他の仲卸しの方とかスーパーの方は、畑で出来た一部分の、真っ直ぐなやつだけしか買わあらへんかった時代があったんですよね。
安: ふふふふ。有りましたね(笑)。はい、有りました。
絹: で、安藤さんがこういうやり方を始められて、畑全部のものを買い求めるという「仕組み」を作られたわけですよね。
安: そうですね。まぁ、全て市場には流通してたんですが、やっぱりあまりにも形の悪いものって言うのは、当然廃棄されていたんですね。
でも、野菜、捨てちゃうのもったいないじゃないですか。
絹: はい。
安: 切って食べれば、同じなんですね。味は同じに鮮度も同じなんで、是非又、そんなものもご提供させていただきますので、見つけたら皆さんお買い求めください。
絹: はい。
安: よろしくお願いします。
絹: これで、皆さん、長い謎解きでしたけど、判っていただけました?
安: ははははは(笑)
絹: そろそろまとめに入ります。
「食の流通から、まちづくりを超えた国づくり」をされているのが、安藤さんだと申し上げました。
これは、仲卸しという流通を抱えて・・・どうでしょう、日本の食の・・・大げさに言いますよ・・・安全保障にまで、食糧自給率まで係わるような・・・お仕事じゃないでしょうか。
その・・農家の方がプライドを持って、後継者、産地の人と結びついて「やるんだ!」と言うことの、仲立ちをそれこそしている人が安藤さんです。
安: 農業にはやはり、未来が見えて欲しいなぁ、といつも思います。
ですから、若い方にどんどん担って欲しいな、と言う風にいつも思ってる次第です。
絹: はい。今日は、まちづくり人を超えた、国づくりの一端を担っている、京都の食を担う中央卸市場、仲卸しのお仕事をやってられます、株式会社カネウメの安藤隆一さん、来ていただきました。
この番組は、これからも元気な“まちづくり”人の紹介や、地元京都のまちづくりの最前線を紹介していきたいと思います。

さて、いかがでしたでしょうか?
この番組は、「心を建てる」公成建設の協力でお送りいたしました。
うちの会社も、うちのみんなも自分の顔が見える建物・構造物を造っていきたいなぁなんて、安藤さんに触発されております。
安: いいですねぇ。
絹: はい。皆さんどうもありがとうございました。
安藤さんありがとうございました。
安: どうもありがとうございました。拙い話で失礼いたしました。
絹: はい。こういう方がおられます。皆さん、覚えといてくださいね。
失礼します。
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