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放送日 平成16年8月29日(mp3形式音声ファイルはこちら→)
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 放送内容は、著作権の保護を受けますので、個人でお聞きになる以外のご利用は出来ません。
タイトル: センテナリオ物語(その3)
テーマ: センテナリオの苦労話(担当現場所長を交えて)
出演者: 奥:奥野 正樹 公成建設株式会社・センテナリオ担当現場所長
松:松岡 千鶴氏 NPO法人京都コミュニティ放送 放送局次長
絹:絹川 雅則 (公成建設株式会社)
     
 放送内容については、無断使用を禁止させていただきます。この件についてのご連絡はこちらまで。  
絹: 公成建設、まちづくりチョビット推進室!
みなさん、こんにちは。
公成建設、まちづくりチョビット推進室、絹川でございます。
お相手はいつもの様に、京都三条ラジオカフェのマドンナであります、松岡千鶴さんです。
松: はい。実はマドンナではありませんが、松岡千鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
絹: 本日もよろしくお願いします。
松: はい。
絹: 松岡さん、ちょっと今日は歩いてきたんですけれども、日陰を選んで歩いていると、涼しかったですよ、今日、わりかし・・・。
松: ほんとですか?
絹: 残暑厳しいと言う中でも、ちょっと秋を感じるこの頃、と言う形で、少し「あぁ、これで夏も乗り切れるかな?」なんて思いながら、ラジオカフェにやって来ました。
松: そうですね。もう夜には、秋の虫鳴いてますから、やっぱり秋の訪れは確実にそこまでやってきてますね。
絹: そうですね。
さて皆さん。本日の番組タイトルは、「センテナリオ物語(その3)」と言うことで、今日で「センテナリオ物語」を閉じたいなぁと思っております。
今日は、ゲストといたしまして、一回二回とセンテナリオのお話をさせていただきましたが、その現場を担当致しました、我が公成建設のエースの一人であります、奥野正樹所長をゲストとしてここに呼んでおります。
奧野さん一言・・・
奥: こんにちは。初めまして。
公成建設建築部、奥野正樹です。
よろしくお願いします。
絹: よろしくお願いします。
と言うことでですね、烏丸一条西入るに少し変わったマンションが出来ましたよ・・・“つくば方式”と言う、京都府下では初めての試みをやりました。
それから、コミュニティに種を撒く・・・どう言うんでしょう?箱物を造ってそのまま去る、設計書通りの建物を納めて黙って現場を去る、と言う建設屋ではなくて、コミュニティの芽を少し撒くお手伝いをしてから現場を去る、そういう建設屋でありたいな、と言う思いの基に始めたプロジェクト・・・
しかも住まい、住人の方にもメリットがあるよ。
あるいは地主の方にもメリットがありますよ、て言うお話をして参りました。
で、今日ここに奧野所長に来てもらったのは、現実に当社といたしましても大変に難しい現場、難しい仕事・・・
特に京都府下では初めての事ですから、それを押し上げてくれた苦労話と言いますか、実際にどういう大変な目にあったのか、あるいはそういうエピソードがあったのかと言うことを中心に、しばらく語ってもらいたいなぁ、と思います。

現実に、現場を終わったときにですねぇ、印象的な奧野の発言は・・・「半年間休みます!!」と言うて叫びましたね。
松: あぁ〜それだけしんどかったと・・・・
奥: も〜ぅ、しんどかったですね。
松: そうですか・・・
絹: 目の下に隈が、二重三重なんてもんじゃなかったですね。
松: そうですか・・・実際に半年間休まれたんですか?
奥: いや〜休んでないです。(笑)
松: それは残念ですね。(笑)
奥: ちょうど去年の今頃で、お盆がお引き渡しと言うところで・・・
結局まぁお盆も、あまり休めなかったと言うところで・・・
まぁでも、無事に引渡して、ホッとしたというのが、本音の処です。
松: あぁ、そうですかぁ。
奥: ちょうど工事が一年ぐらいかかりまして、かかったのがその又一年前のお盆の前に解体が始まって・・・
で、お盆迎えて、いよいよ本格的な工事の着工と・・・ちょうど一年のスタンスの工事でした。
松: その一年て言うのは、長いんですか?短いんですか?どうですか?
奥: 普通、五階建てのマンション・・・今のセンテナリオさん程度の規模であれば、工事期間としては、結構長い方にはなります。
松: はぁ。
奥: 当初話を聞いてまして、その又一年ぐらい前からそういう様な仕事があるよ、と言うのは聞いてましたんで・・・・
まぁちょっとコーポラティブ・・・・その前も一度ちょっと経験していたんですけれども・・・大変苦労した部分もあるんですが、まぁやり甲斐がある、楽しい建てもんやな、と言うので、まぁ工事期間も一年もあるし、これはちょっとゆっくり取り組めるかな?って言うのは、当初かかったとき、でも実は本音の部分に有ったんですけども・・・。
絹: ところが、ところが、と言う・・・(笑)
奥: そうですねぇ。(笑)いろいろありました。
絹: いろいろありました。
奥: そうですね。
まぁでも、最終的に今度又一年の検査で、お客様の顔を見るわけ何ですけども・・・
今現在の心境で言うと、「やって良かったなぁ」と言うのが本音の部分にはあります。
ただし本当に、今絹川の方が言いました様に、終わるときには、もうほんとにちょっと眠れない、と言う日々が続いて、苦労したのを今になって思っています。
絹: 奧野は、コーポラティブタイプの仕事を二つ・・・ツープロジェクト経験しておるんですけれども、前回が七戸・・・
奥: そうですね、七戸。で、今回が・・・
絹: 十三戸。
だから、ほぼ打合せのお客様の数がですねぇ・・・前回も申し上げました様にコーポラティブの場合は、各室が違う可能性がありますから、それぞれがこだわった方が注文を出されますから・・・
七戸のほぼ倍の苦労をしたんじゃないかな・・・
で、その七件の初めてのコーポラティブの経験を、奧野にしてもらったときも、「悪いなぁ」と・・・
僕が持って来るといいますか、そういう仕事を・・・苦労かけたな、変な仕事やったやろ、と。
それと、ものすごい手間かかったよね・・・打合せの手間やとか設計やとかお客さん方との打合せとか・・・
もう、かなんでしょう?わるかったねぇ・・・もう二度とあかんよなぁ・・・と言ったら、
「もう一つぐらいやったら、やります」って言うてくれよったんです。(笑)
松: あぁ、そうですか。もう一つと言うことは、あと二つも三つも・・・(笑)
大丈夫と言うことですよね、きっと。
奥: はぁ・・・(笑)
絹: それが運の尽き、やったわけですよね。
松: はい。どの辺りで、一番苦労されたんでしょうか?
奥: そうですねぇ。まず建物の形がちょっと、いびつな形って言ったらおかしいんですけど、普通マンションであると、大体まぁ窓が一面だけ、南側だけ窓が有って、入り口の方に扉があると・・・
そういう様な形が多いのですけれども、今度はやっぱり光を採り入れたいと言うので、マンションなのに一応三方向・・・例えば北・南・東に窓を設けると言うので、すべての建物が成り立っていますんで・・・なんかこう、独立した様な形になっているという・・・それがまぁ一つあったんですが。
で、各階・・・我々「間取り」って言うんですけども・・・区画が大体基本階というのがあって、まぁ二階、三階、四階は同じパターンで、五階と一階はちょっと違いますよと・・・そういうのが多かったんですけれども、今回の場合、一階から五階まで、すべてちょっと形が違うと・・・・
で、勿論コーポラティブですんで、お客様の尊重した、自由な設計になってましたんで、その辺がすごい苦労した部分が一つですねぇ。
で、それが一つなんですけれども・・・
あの、話し出すとちょっと止まらない(笑)・・・
絹: いえいえ。どんどん行きましょう。
奥: 例えば一つの住居の中にも、やっぱり寝室があって、食堂があって、トイレがあって、廊下があって・・・
それが全部複雑にかみ合っていって、それぞれの仕上が全部違うと言うので、まあそれですごい混乱が起きないかな?というのが・・懸念しておったんですが・・・
それもまあ決まっておれば、「この部屋はこれをやるんだよ」と言えるんですけれども、どうしても自分の建物が、自分の家が出来てくるっていうと、やっぱし「ここにやっぱし、ちょっとスイッチが欲しいな」とか「ここにやっぱし棚が欲しいなぁ」と・・・
で、「棚を付けたんやけど、ちょっとやっぱりもうちょっと高い方がよいかなぁ」とか・・・
そういうのがやっぱり段々見えてきますんで、それに対応していくのが、やっぱり苦労した一つになります。
絹: 松岡さんねぇ。
ちょっと判りやすく補足しますとね、スーツとか、背広とかね、作るとき、昔の凝った方は、仮縫いとかされたじゃないですか。
松: はい。
絹: あの・・・テーラーさんへ行って・・・
松: ええ。
絹: ポケットは貼付にするのか、フラップポケットにするのかとか、サイドベンツにするのかセンターベントにするのかとか、ボタンは貝ボタンだとか、いろいろ・・・
全部仮縫いしながら、されますよね。
ところが今はまあ、大体ぶら下がりで、イージーオーダーでも簡単に買えますよね。
松: ええ。
絹: 奧野がしている苦労は、その「仮縫い」の苦労、さらにそれを上回る・・・「仮縫い」してですね、テーラーさんが縫い上げたところで、「やっぱりポケットの位置変えるわ」とかですね・・・
松: その「やっぱり・・・」て言うのが結構・・・有るって言うことですよね。
奥: そうですね。
やっぱりでも、「住むんやったらこうしたい」とか・・・
我々その・・設計者の方が考えられた「ライフプラン」、と我々が感じる「ライフプラン」、でお客さんの感じる「ライフスタイル」の違いって言うのは、やっぱり有りますんで・・・
我々がやっぱり常識で、「この扉は右から左に開けた方が良いよ」って言うのも、やっぱりお客さんが・・・
例えば極端なことを言うと、左利きの方やったら「左から右に開けた方が良いよ」とか、そういうのがやっぱり、設計の段階では、そこまではやっぱり判りにくい部分って言うのはあると思うんですけどね・・・
松: はい。
奥: その辺を、まあ最初図面の段階でこう、詰めていくんですけども、まあ出来上がってきたら「やっぱり、こうしたいなぁ」と・・・
でも対応の出来るものは、まあ対応してましたけども、対応できない部分については、こういう説明をさせていただいて、これを使って下さい、と・・・
そういうなやっぱり対応って言うのは、有りましたね。
松: あぁ、そうですか。
それがやっぱり、住む身になって考えると、やっぱりそういう・・・
まぁいわゆる「ワガママ」にも答えると言う、出来るだけ答えると言う事でしょうか。
奥: そうですね。
やっぱりその・・・勿論そのベストなものを造りたいんですけども・・・それはやっぱり当然ベストなものを造りたいんですが・・・
やっぱり、どうしてもお客様は、それはベストではなくって、それはベターだと言うか・・・うーん我慢して使おうかなと言う部分も有ります。
なるべく、ベストに近い形では要望は聞いていきたいな、と言う風には思いながらは、一応造ってました。
松: そんな気持ちでされたんですね、絹川さん。
絹: はい。
あのね、私、入居者の一人でもあり、地主でもあり、建設会社でもあると言いましたでしょぅ。
入居者の側から見ますと、とにかく無茶苦茶な注文を奧野にしているわけですね。
松: 絹川さん個人も、されましたよね。
絹: はい。
奥: すごい・・・多かったですけれども。
松: (笑)実は一番ワガママだったのは、絹川さんご自身じゃないでしょうかね?
奥: うん、そうかも・・・(笑)
松: 地下室に確か、防音室を造って欲しいとおっしゃったのは・・・
絹: ・・・・は、違います。
松: あっ、違う人ですか。
絹: あのね、僕は・・・曾々じいさんっていうんですか、祖父と曾々じいさんが造った家・・・古い家ですね。
それの古材を出来るだけ活用して下さいと・・・引戸も石もですねぇ、いろんなものを出来るだけ使って下さい、と言う注文を出した訳ですね、設計者にも。
まぁ、奧野所長は、「本気ですか?そんな手間のかかることを本気でやるんですか?」って、初めににあきれてましたです。
奥: やっぱり、あんまり今まで経験がなかったんで・・・
松: ええ。
奥: まあ普通、今から解体する建物が有って、でもこれとこれとこれ使いたいし残しといてとこう言われて、「あっ、そ、そうなんですか・・・・」て言う・・・
松: 「そ、そ、そうなんですか・・・・」って(笑)・・・はい。
奥: 「で、何に使われるんですか?」というたら、「ふぅーん、まだ今考えている」
松: あぁっははっ!(笑)
奥: そういう様な形で、何時それは登場さしたらいいのかなとか、そういうのがありまして・・・
結構、だから一杯古材って言って、古い木なんですけれども・・
松: ええ。
奥: やっぱり思い入れのある、お祖父さんの造られた家ということでも有りますんで、その木を利用するというので、大分うちの方も倉庫の方にストックしておりました。
松: はぁ、そうですか。
木ってすごいですよね。磨くと又、本当に新しい様に生き返るというか・・・
奥: そうです。
松: やっぱり使わないともったいないですよね。
絹: はい、あのねぇ・・・大黒柱と小黒柱をデザイン的に・・・コンクリートの建物なんですけれども・・・居間に入れてもらったんですけれども・・
又、これが職人さんがですねぇ、凝りましてねぇ。古い黒光りしている柱ですから・・・
それから「ほぞ穴」とかもでてきますでしょ。
そんなところは残したままで、古色蒼然としたものが付いてくるかと思ったんですけれども、出来上がってみたら、もう真っさらのピカピカみたいなところで・・・
ほぞ穴ってこう・・・木組みの処がありますね。
松: 組ませる、あれですね。
絹: そこもですねぇ、綺麗に埋めてねぇ・・・木目まで合わして・・・ここまで拘らんでもええのにと思うぐらい、やっぱり職人さんって言うのは綺麗にしてくれはって・・・・
古材は、狂いも少ないし、本当に又生き返るんやなぁと・・・・
大黒柱と小黒柱は生き返りましたし・・・
で、僕の家だけではなくて、他の入居者の方々にも古い家・・・旧宅ですね。解体の時に「大略奪大会」と称しましてね、
「皆さん、これからこの家解体します。出来たら、古材使いたいんです。使って下さい。」
「欲しいものをみんな、名前の付いたテープ貼って下さい。」
とか、
「石、こいつ欲しい人は、ガムテープに誰それって名前書いて貼って下さい」と言う、大略奪大会をしたんです。
結局、使い切れない部分もたくさんありました。
だけど、廊下の板からね、階段の板から、いろんなものをね、奧野にあきれられながら、「何こいつ無茶苦茶言うにゃ」と言う様なこともしました。
奥: そうですね。まぁ、それ以外にも色々と・・・(笑)
松: ええ、それ以外にもなんかありますか?
もう今日は包み隠さず・・・(笑)
奥: あと、もう一つ絹川さんのところで言うと・・・
台所で使うお水の排水を一回土の中に通して、濾過をさして雨の溜まるタンクがあるんですけども、そちらの方に移して、それをもう一度利用するという・・・そういうシステムがありまして・・・
松: 雨水利用、アマミズ利用とは又違いますか。
奥: そうです。
松: 濾過するんだから・・・排水をですか。
奥: 勿論雨水もそのタンクに貯めますし・・・
雑排水というか、あんまり汚くないところ、でもちょっときたない水を濾過をさして、それを雨水と合併さして・・・・
その水をセンテナリオの滝に使ったり・・・で後・・
松: ほぉー。
絹: 補足しますね。
前回話した、生活雑排水、僕の家だけですけども、風呂の残り水、洗濯のすすぎ排水を・・ですね、今奧野が言いました様に土の中に導いて・・・
松: 濾過させて・・
絹: 土壌の、土中のバクテリア・・・好気性バクテリアと言って、空気が好きなバクテリアに、地中の・・・地面の上から60cm位の処に沢山いるんですね。
松: あぁ、そうなんですか。
絹: そこの処に、その水を通して・・・まぁ富栄養化した水ですわ。
松: ほーぅ。
絹: 洗剤やとか人間の垢やとか・・
松: そうですよねぇ。
絹: それを食べてもらって、一旦綺麗にしたものを、20tの建物の地下にある雨水タンクへ導いて、その水をトイレ・・・僕んちはトイレの流し水にもう一回再利用すると・・・
松: ほーぉ。
絹: で、今言いましたのを、ビオトープの四段池が玄関の処にありますんで・・・
松: 有るんですか。
絹: そこへの水の供給も行っているし、散水も行っていると・・・
これも奧野に迷惑かけた仕組みなんです(笑)。
松: そうですか。
奥: その、そこをやっている業者の専門のところは、東京の業者の方で、電話すると、ちょっとたどたどしい様な返事の仕方で、ホンマにそれが出来るんかな、って言うのもちょっと疑問に思いながら・・・
で、後そういう雨水利用をしている業者は京都にもいますんで、ちょっと話を聞いて・・・これは大変やねぇと言う話になって・・・
でもそれがうまくいけば、水を濾過することによってバクテリアが発生して、その上に今度木を植えると、生き生き育つという、そういうメリットもあると聞いていましたんで、まぁそれが出来たら素晴らしいことだと、思いつつも、ちょっと工事をにらむと、「うーん。なんか間に合うのかなぁ?」と言う、不安を持ちながら施工してたんを今思い出してます。
絹: 奧野所長。
僕の他に、「辛いお客さん」というか、「難しいこと言わはった」とか・・・エピソード有ります?
奥: そうですねぇ・・・エピソード・・・いろいろあるんですけどもぉ・・・(笑)
とりあえずその・・・今、健康志向というか、建物も・・・そういう風になってますんで・・・
一般的な壁にペンキとかクロスとかが多いんですけれども、今回結構多かったんは、漆喰(しっくい)の壁を塗って下さいと・・・
漆喰にちょっと色を付けたり・・そういう様な仕上。
又、掻き落としの様な仕上のお家の方もおられましたし・・・。
絹: 「掻き落とし」って判ります?
松: 「漆喰」は判りますが、「か・き・お・と・し」ですか?それは判りませんねぇ。
奥: まぁ、田舎の外壁みたいな、ちょっとザラッとした様な。
松: えぇ。
奥: そういう様な仕上なんですが・・・
松: ほーぅ。
奥: 結局、その・・・
部屋が段々、もう出来上がっていっているところで、そういう「塗り仕事」って言うか、左官屋さんが入る様な仕事・・・
松: あぁ、そういうのを「塗り仕事」と言うんですか?
奥: そうですね。
そういう様な仕事を言っていくと・・・
やっぱりその左官屋さんって言うのは勿論技術が有るんですが、やっぱり急がす・・・急がして出来る様な仕事でもないんで・・・
やっぱし、左官屋さんが仕事のし易い環境に持って行くと・・・現場の方はね。
で、その後に「乾式」って言うか、一般的な建材を使った様な、床のフローリング貼ったり・・・・・
そういえば、床のフローリングも、ほとんど使ってなくて、自然な木を使うと言うのが・・・
松: ほーぅ。
絹: 無垢の木ですね。
松: えぇ。
絹: 上だけ薄く貼った木じゃなくって、無垢材でやりました。
松: あまりそういうことはしないですか、普通は?普通のマンション・・・
絹: いえ、この頃増えてますけど・・・
奥: そうですね。
絹: 普通のマンションではしないですね。
奥: そうですね。普通の一般のマンションは、あまりしてないと思います。
松: はぁ、そうですか。
奥: やっぱし、注文住宅とか、自然の・・・これから自然志向というか・・・そういう方は、やっぱりホルムアルデヒドの問題とか有りますんで・・・
松: そうですねぇ。
奥: やっぱり木材が良いと言うことで・・・まぁ、値段の方も結構するんですが・・・
松: そうですかぁ。
奥: そういうのも多かったですねぇ。
で、とある家は・・・まぁ我々の感覚で言うと・・・
フローリングって言うのは部屋に判るんですけども、一面タイルにしてくれと・・・
松: ある部屋ですか。
奥: ある部屋だけですけれどもね。
松: 一面タイル?
奥: リビングの床を、タイル貼って下さい。
松: 滑りそうですね、普通考えると・・・(笑)
奥: (笑)まぁ、ちょっと滑りにくい、ちょっと黒っぽい、石調のタイルだったんですけども・・・
で、「そういうタイル貼って下さい。」と・・・
「ほぉー」と言う感じで・・・(笑)
松: 「ほぉー」ですねぇ。(笑)
普通、あまり聞かないですねぇ。
絹: あのねぇ。そのタイルもねぇ、これは30cm角でしたかねぇ。
奥: そうですねぇ。
絹: あのぉ、深いマリンブルーって言うか・・・
松: ご注文が有ったわけですか?
奥: そうですねぇ。
絹: あのねぇ。竣工写真をお持ちすれば良かったんですけれども・・・
又それがねぇ・・・プロのカメラマンが撮られた写真見とねぇ・・ほらぁ、良い感じなんですよね。
松: そうですか。
絹: その、フローリングの無垢の木の方が多い、皆さん多い家の中にあって、この方はそういう・・・リビング全部、入ったところからそういう、深ーい海の色のタイルがお好きでやられた。
それはそれでものすごく、その人らしい・・・
奥: で、やってみたら、「あぁ良い感じかなぁ・・」て言う様なのが判るんですけれども・・・最初図面見たときに、「タ、タイル貼るんですか?」と言う様な・・・(笑)
普通そうなんですかねぇ・・・それに又床暖房が入ってたり・・・・
松: ほぉー
奥: 「効くんやろかなぁ・・・?」とか・・・(笑)
松: ほんとですよねぇ。どうなんでしょう?
奥: 結局は、まぁ床暖房は効いてます。
只、フローリングよりは、そんなに暖かくはなってないとは思いますが・・・
松: 元々ねぇ、そういう・・ちょっと冷たい感じがする物ですから・・・
奥: えぇ。
松: 暖房という面では、逆になるかもしれませんねぇ。
奥: そうですねぇ。そういうお宅もありましたし・・・・
松: そうですか・・・
奥: 又、ヨーロッパのお姫様のはいる様な、真っ白で統一された、お部屋もありますし・・・
見てる分については、すごい楽しい建物が出来たなぁと思います。
松: そうですか。今私、お話伺っているだけで、ほんとになんか、楽しい気持ちになってきました。
それぞれの方の、いろんな想いとか、夢とか・・こんな家だったらいいなぁ、って言うそういうのって夢ですよね、普通。
奥: そうですね。
松: それを実現してくださった、と言うことですよね、しんどかったけど(笑)
絹: はい。設計者と一緒になって、実現に移すところが、うちらの仕事な訳ですよね。
その現場の、いろんな、たくさんいる職人さん、職種、のコーディネートというか、タクト振って指揮をする司令官が、奧野正樹という漢(おとこ)だったわけですね。
松: えぇ。
絹: だから、目の下に隈が三重になっちゃった、と言うところなんです。
奥: でも、ほんとに・・・その図面を見たときに、やっぱし楽しかったんでね。
まぁ、造って見たいなぁと言うのがあったんですけど、やっぱり「大変やな」って言うのが、気持ちでしたね。
絹: あの、そろそろ、時間が経つのが早いもんで、後残りが5分位になってしまいましたけれども・・・
こういう仕事ですねぇ、もっとホントは奧野、まだまだネタ、しゃべれること一杯持ってるんですけどねぇ・・・
松: ホントですねぇ。
しゃべり出したら止まらないほど、やっぱりいろんな体験されて、想いがあると・・・
絹: はい。
奥: そうですねぇ。
絹: これから我々、奧野を含めて我々が目指すべきは、こういう仕事をして行く中で、本当にお客様の想いを形にしていくのに、もっと自分達が研鑽積まなければいけないところ、改良積まなきゃいけないところ・・・
ワガママに何処までつきあい、何処までつきあえないのか、と言うことをはっきりしていくというよな・・・
そういうことを、これからもね、突き詰めていかないかんなぁ、と思っておりますけれども。
又、奧野だけではなくて・・・まぁ奧野の下でサブの人間も育ちつつ有りますので、こういう仕事していきたいなと思います。

さぁ、皆さん。
「センテナリオ物語その3」も、いよいよエンディングに近づいて参りましたけれども、私の想い、と言いますか、地主=土地をお持ちの方、にもこの方式は、“つくば方式”というのはメリットがあります。
と言うのは、銀行からリスクを背負って沢山のお金を借りなくても、「コーポラティブ方式」を使う事で、建物に思い入れを持った人たちが集まって来て、組合を結成して、みんなのお金でみんなの建物を建てましょう。
それに「定期借地権」を絡ませることによって、分譲よりも利口に建ちます。
“つくば方式”の考え方を用いることによって、地主さんには「地代」が入ります。
先祖から受け継いだ大事な土地を、売らなくて済みますよ
、と言うところ・・・
それから、町並みに対する貢献・・・
200%と言う法律上の容積率を、普通のデベロッパーさんでしたら、事業性を追求するために、完全に使い切るわけですけれども、今回は167%・・・
奇しくも筑波で行われました“つくば方式”第一号の事例も、167%に容積率は納まっています。
そういう中での事業性が確保できると言うところで・・・
町中で、中心市街地で、町並みにも少しは配慮をした・・・そして、シンボルツリーであるクスノキを残すんだとか、緑を残すだとか、自然に配慮をするだとか・・・
それから、一番初めに申しました、コミュニティの芽を少し撒いて・・「隣は何をする人ぞ」じゃない建物を造るお手伝いをして、静かに現場を去る事が出来る、そんなロマンを夢見てトライをいたしました、我が社としては初めての“つくば方式”。コーポラティブとしては二例目で有ります。

皆さん、つたない進行でありましたけれども、松岡さんのお助けの基、何とか三回目までたどり着きました。
この「センテナリオ物語」、その1、その2、その3は、我が社のホームページでWeb放送、Webラジオとして聞ける様になっておりますので、繰り返し聞いてくいただける方が有りましたら、ご紹介頂けるとうれしいです。
と言うことで、後まだまだ続きますけれども、これで一旦「センテナリオ物語その3」を閉じたいとおもいます。
松岡さん、それから奧野所長、初めての経験でビックリしたでしょうけど・・・
奥: 緊張しました。
絹: 又、おもしろい仕事したら、出て来て下さいね。
奥: 判りました。
松: 楽しみにお待ちしております。
奥: はい。頑張ります。
絹: それでは皆さん、さようなら。
松: さよなら。
奥: ありがとうございました。
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